睡眠歯科外来(睡眠時無呼吸症候群外来)

保険適用のマウスピース治療で、いびき・睡眠時無呼吸のお悩みを解決

皆さんは、「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)」という病名を聞いたことがあるでしょうか。その名の通り、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう病気で、いびきを伴うことがよくあります。医学的な無呼吸の定義とは、10秒以上の呼吸停止状態で、「一晩(睡眠7時間)に30回以上の無呼吸」あるいは「睡眠1時間あたり5回以上の無呼吸」が、SASの診断基準です。
かつては内科的治療が一般的でしたが、近年では歯科の保険診療でSASを改善する「スリープスプリント療法(マウスピースの装着)」が注目を浴びるようになりました。当院では、経験豊富な専門医による「睡眠歯科外来」を開設しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の主な原因と発症メカニズム

SASの最も多い病態は、肥満・扁桃腺の肥大・あごの骨格形状などが原因で、気道(喉の空気の通り道)が塞がる、または狭くなることで発症する「閉塞型睡眠時無呼吸症候群」です。
なぜ、いびきをかく方に多いかというと、いびきとは、狭まった気道に空気が通る際、周囲の粘膜が震えて音が鳴る現象だからです。それはつまり、いびきは気道が塞がりかけていることを知らせている重要なサインとも言えます。
気道を狭める一番の要因は、肥満による首回りの脂肪沈着で、もともと肥満体型の方よりも、若い頃と比べて10キロ以上体重が増えた中年太りの方で、習慣的にいびきをかいているなら注意が必要です。また、日本人は痩せていても、あごが小さい骨格の特徴が関与し、SASになる方が多く見られます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の主な原因と発症メカニズム

本人は自覚しにくい病気のため、ご家族や周囲の方から、「いびきが大きい」「睡眠中に息が止まっていた」などと指摘されて気付くケースが大半です。自覚症状としては、「日中の居眠り」「目覚めの悪さ」「起床時の頭痛・口の渇き」「集中力・記憶力の低下」などが挙げられます。
SASの弊害は、いびきの騒音だけでなく、慢性的な睡眠不足で日中の脳の働きが低下し、交通事故を招く危険性が高まること。また、睡眠中の無呼吸によって酸素不足が生じ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなります。
長く放置していると、脳卒中・脳梗塞などの脳疾患や、不整脈・心不全・心筋梗塞などの心臓疾患を発症するリスクが高くなり、最悪の場合は突然死に至ることもあり得るのです。SASの確実な診断には、医療機関での「終夜睡眠ポリグラフ検査」が必要で、当院ご来院後、連携する医療機関をご紹介させていただくことも可能です。

当院が推奨する睡眠時呼吸症候群(SAS)の歯科的治療法

当院では、SASの歯科的治療法の有効性に早くから着目し、「スリープスプリント」と呼ばれるマウスピースを作製しております。SASの治療といえば、専用医療器具を用いた「CPAP療法」の認知度が高いですが、スリープスプリント療法は、「コンパクトで持ち運びに便利」「歯科医院で手軽に作れる」「簡単なメンテナンスで長期間使用可能」などのメリットから、治療の最初の選択肢としてお勧めしております。
装着は就寝時のみで、お口に合わせたマウスピースで下あごを少し持ち上げた噛み合わせを保つことで、舌が喉の方向へ行くのを防いで呼吸をサポートします。心肺蘇生法の基本「Airway」の体位をイメージしていただくとわかるように、人はあごを持ち上げることで、空気が気道に入りやすくなるのです。

当院の院長は、日本における「スリープスプリント療法」のパイオニアとして、まだ普及していなかった時代から研究・診療に従事し、スリープスプリントの効果に関する学位論文で博士号を修得しました。これまで20年以上、数多くの患者さまの治療に携わり、日本睡眠学会・日本睡眠歯科学会などに所属、日々知識・技術の研鑽に励んでおります。

マウスピース(スリープスプリント)による睡眠時無呼吸症候群治療

スリープスプリントの作製は、医療機関でSASと診断されると保険適用(1万円弱)になります。骨や筋肉が発育段階のお子さんには適さないため、対象は原則として高校生以上で、あごの関節に問題がなく、自身の歯が20本以上残っていることが適応条件です。まずは、お近くの医療機関でSASの診断書・紹介状を取得していただき、当院をご予約ください。診断には入院検査(1泊2日)が必要なため、すぐに作製したい場合は、自費診療(3万円~)もご案内しております。初診時には、問診と各種検査を行い、特に問題がなければ歯型の採取へ。お渡しは一週間程度ですが、装着後の経過も観察させていただき、必要に応じて調整を行います。不具合のない状態になれば完成で、検査を行った医療機関にて、スリープスプリントの効果判定を行うことも可能です。スリープスプリントは丈夫なプラスチック加工のため、耐久年数は約5年間で、当院にてメンテナンスを随時対応させていただきます。